アナノコ

松葉洞からアナノコ・三尾山
2005年4月松葉洞から

アナノコ 985.1m 関市(旧洞戸村) 2006年2月19日  地形図「美濃

【登り:集会所−25分−渡渉点−55分−支尾根−10分−境界尾根−60分−山頂】

【下り:山頂−30分−支尾根−40分−渡渉点−20分−集会所】

《アナノコについて》

ルート地図

旧美山町・旧板取村・旧洞戸村の境にある三等

三角点の山、点名「老洞」。

94年7月、東洞から北山を目指して入山し、

敗退して帰る途中に東洞の集落で話を聞いた折

この峰を「ダイガネ」と聞いたが、「美濃の山

(第2巻)」にはアナノコと紹介されている。

同書によれば数々の名称があるようだがアナノコ

は東洞で採取したと書いてある。私も東洞で聞い

たのだが別の山と勘違いしたのだろうか。

いずれにしても尾根はササヤブで容易に近づく事が出来ない。「点の記」には生老から林道を

行く順路が記録されているし、「美濃の山」には東洞からのルートが記載されている。

そして先日「大垣勤労者山岳会」のホームページに小瀬見からのルートが記載されているの

を見つけた。これならば国道からすぐに取付く事が出来、登頂できそうな気がした。問題は

尾根の積雪量だけ。

《小瀬見の集落》

小瀬見からアナノコを望む

 小瀬見橋を渡り左折して小瀬見の集落に入る。

 一番奥まで行き路肩に車を置くが、やはり住民の

 方の迷惑になりそうなので国道に戻り、国道沿い

 の集会所の前に駐車させてもらう。

 またカシミールでは、この付近から山頂が見える

 はずだが実際には手前の694m峰に隠れて

 見えなかった。


《境界尾根へ》

村の中を歩いて行くとあちこちから犬に吠えられる。そして見慣れない光景があった。

普通、墓地は集落の北斜面か洞の奥付近にまとめて有るのに、ここは敷地の隅か近くに

有り、家ごとに祭られている。

林道に入るとすぐに飲料水供給施設があり、道は小瀬見谷左岸につけられている。この辺り

には雪がかなり残っていて「ワカンを持ってくれば良かったかも」などと思い始めた。

そして渡渉点に着き、沢を渡ると正面の杉の植林の中に今までの作業道よりも立派な道(?)

が直登している。取付きからかなりの斜度があり、今度は「アイゼンを持ってくれば良かった」

雪の詰った谷

と思う。道(?)が二又になり右に入るが斜度は35°

を越えるようになる。振り返ってゾーとした。

もし滑ったら捉まる物が何も無い事に気がついた。

右手の植林の中に入ったが潅木が少なく慎重に杉の木

に捉まりながら登って行く。尾根らしい所に着くと

北側は自然林になり、何と割りと新しいテープが続い

ている。少し登ると支尾根に乗ったらしく、北側が

植林、南が自然林に変わっている。尾根の上はよく

締まった雪でここまで苦労したかいがあった。10分も歩くと境界尾根に乗った。

《山頂へ》

境界尾根にも頻繁にテープが付けられている。感じとしては昨年の雪が降る前辺りの物か。

小枝に付けられたまま折れて落ちている物や雪に半分埋もれている物もあり、実際にはかなり

狭い間隔でつけてあるようだ。夏ならば仕方ないかと思いつつも「こんなマニアックな山に

まで」とつい思ってしまう。快調に木々の間を進む。

高賀山 右手には高賀山が見え、タカネ

 から矢坪までを従えている。

 2ツほどコブを越えると本峰が見

 えるがまだかなりありそうだ。

 突然岩が前方をふさぎ乗り越え

てもまた岩が続いている。ようやく山頂に近づいたが三角点は当然雪に埋まっているだろうし、

山名標は無いに決まっている。北からの尾根の合流点を山頂としようと考えて進んで行く。

そして山頂。

《山頂にて》

当然ヤブ山なので展望は期待してなかったが、何とすばらしい展望が待っていた。高賀山を

挟んで御岳・恵那山。南を見れば相戸・北山・円原、そして行けなかった峰山。遠くを見れば

伊吹から霊仙・鈴鹿の山々、木間越しながら白山も見える。西の肩に行くと三尾山(サンノー

の高:注)の真ん中の峰「大洞」を望む事が出来たので、何時か行くよと挨拶を送る。

(注:サンノーの高は故今西錦司氏の命名によるが私の持っているどの本にもその由来が書かれていない。ノンキ君の言われる
   ように三尾をサンノーと読む人がいても不思議ではないが氏がサンノーと読むだろうか。冒頭の写真のように三本の尾根が
   1ヶ所に収束する地形を見られて氏は「三ツの尾根の高」と表現されたのではないか、と私は勝手に思っている。

大洞 北山 峰山と円原
      大洞(右奥のコブ)            北山               峰山(左)と円原

山名標は無かったが1つだけ「2004年12月15日東洞から2時間30分」と書いた

テープが下げてあった。山頂に間違いないと思いつつもやはり心強い。

《下山》

今日は3時までに帰りたいので名残惜しいが下山する。登りの足跡は雪が締まっていたので

ほとんど残っていない。岩尾根に来て少少迷ったが無事通過、しかしあの急斜面を下るのは

本当に怖い。境界尾根で左折して支尾根を下るといつの間にか今朝の尾根らしき所に来ていた。

地図上の破線とは全く符合しないのでコンパスで尾根の向きを確認すると40°、ならばこの

尾根だと言うことで急斜面を下りだすと例のテープが続いていた。やはりこの人はこの尾根を

登ったのだ。左自然林、右植林の境を下っていると何だか人の声が聞こえたような気がした。

立ち止まり耳を澄ましてみるが何も聞こえない。こんな所で人に出合うほうが余程気持ち悪い。

谷に出合い下って行くと2・3分で渡渉点に出た。

集落の中をまた犬に吠えられながら集会所に着くと敷地の角に4・5人の人がいる。とそこに

バスが来た。バス停だったのだ。

《コースの検証》

どう考えても地図上の破線と符合しない。下った尾根はほぼ特定できるが・・・

や、や、やっと気が付いた。直登している作業道と思ったのは谷に雪が詰まっていただけ。

ならば尾根の手前で傾斜が増すのも当たり前。つまらないミスをしていた、でも雪が付いて

いたから破線の道は分からなかっただろう。ならばテープの御仁はわざわざ平均斜度30°の

斜面を直登した事になる。不思議な人だ。



美濃一人山名録06アナノコ