高屋山頂からイバラダワ
イバラダワ 650m 加茂郡七宗町 2008年6月15日 地形図「金山」
【登り】 P8:20−高屋10:30〜(お昼)〜10:55−イバラダワ11:15
【下り】 イバラダワ11:20−鞍部11:30−谷を下り尾根にあがる12:15−鞍部12:35−P14:10
《イバラダワについて》
七宗御留山境界絵図の御留山内で山名の表記がある10座中、最後の未登の山。御留山と上麻生との境界に築かれた14ヶ所の土塚の内、僕が唯一特定できるのが6番「イバラダワ」。ならば当然、国有林の境界があるはずなのでそれが確認できるのを楽しみに出かける。
七宗御留山内の詳細地図はコチラ
( マークから各山名録にリンクしています)
《本日の課題》
七宗御留山境界絵図に「室兼高ヤ」となっている山の点名は高屋であり、森林管理署の地図にも高屋となっている。所がイラストマップ「御佩の郷(http://www.japan-net.ne.jp/~ito/eventc/eventc_9810/mihagi.pdf#search='神渕天王山')」には麻生高屋山なる山名があり、地元で本当にこの山名で呼ばれているのか調べてみたい。
また、イラストマップにあり絵図にもある空フサガリを見てみたい。
《高屋の室兼ルート》
「可児からの山歩き」さんが本谷側から登られ、その地図の中の山頂付近に明らかにイバラダワへの踏み跡が書き込まれている。これはどうしても行ってみたい。
それで今回は「可児からの山歩き」さんのルートで高屋に登り、その後イバラダワに行き、当然有るであろう国有林の境界を下る。本谷のどこに下るか分からないが、そこから空フサガリを通り車に戻るルートを予定した。
《高屋まで》
「可児からの山歩き」さんと同じ場所に車を止め、同じ橋を渡るが丸太の向こう岸側は流されていてヨイショと岸に乗せた。あとはヤブぽい植林の中を行く。尾根が顕著になると展望が開け本谷右岸の「島小屋(556.3m 森林管理署の地図に記載がある)」が目を引く。
本谷の丸木橋 島小屋(左)・ベニズラ
565m手前の急斜面を「可児からの山歩き」さんは直登されているが、僕は「矢印」のナタメを見付け、その向きに行くと明確な道が左山で続いていた。そして565m付近に赤いビニールテープが一杯付いていて、下り斜面を見るとテープはヤブの中に続いていた。
あとは七宗山ならではの岩尾根を通過し、高屋山頂に着き、ここでお昼にした。
《イバラダワへ》
高屋から北に戻り、右折するとすぐにビニール紐でトオセンボがしてあり、直進するとガケで行き止り。トオセンボの所から右の道に入るとイバラダワ手前の鞍部に着いた。そしてここが国有林の境界になっていた。
トオセンボ 鞍部の境界標識
このまま直進しようと思ったが間伐木が折り重なっていてとても歩けそうにない。しかたなく右の境界に沿って行くと尾根状の箇所があり、ここから取り付いた。
そして山頂、何も無いただのコブ。でも一番高い所は植林ではなく、雑木の林が残されていた。どこにも物好きはいるとみえて、あちらこちらの木にビニールテープが巻いてある。また、山頂丘の北側にはかなり古い索道の基部が残っていた。
山頂風景 古い索道
《国有林の境界を下山 イバラの道》
鞍部に戻り境界を下るとガラガラの急傾斜で境界標石もすぐになくなり岩に赤ペンキのマークになった。
谷を右左に行く内はまだ良かったがだんだん谷芯を歩くようになり境界マークもなくなり、3mくらいの舐め滝ですべってしまった。そしてついに5mくらいの滝になった。滝壷もしっかりあり、とても僕には下れない。その上にその先も滝になっているようだ。
谷に沿って境界がある事は絵図で分かっていたが地形図を見ても谷は広く、傾斜も左程ではないように見え、また境界には巡視路のような物が有ると思っていたのは大間違いだと気が付いた。
しかしもう谷を登り返すには深入りしすぎた。仕方なく右手の急斜面をシャクナゲの枝につかまり登って、ようやく尾根に上がった。(帰宅後に絵図で確認するとこの谷には「タルアリ」と注意書きがあった)
しばらく行くとワイヤーが大木にくい込んでいて、こことイバラダワの間に索道が有ったのだろう。そして林道に出合い、危なげな桟道を通って鞍部に帰り着いた。
谷 林道終点から見る高屋
《往路を下山》
ピストンの予定ではなかったので目印は付けなかった為、赤いビニールテープをたどる事になった。620mのコブの西から北に向かう踏み跡に入ったが50m高ほど下ると道はなくなってしまった。
また565m付近では下降点を見失った。
そして、最後のヤブの手前からは左に下る道があり、これを下ると車を置いた対岸のガケの上に出、左折して行くと谷川に出合い、本谷には鉄製のハシゴが渡してあった。そして林道に上がるとすぐに車があった。
本谷出合 本谷に下りる分岐点
《聞き取り 室兼にて》
下山後に室兼の集落に向かう。ちょうど林道で軽トラとすれ違い、地元の方と確認する。質問の仕方は「本谷と石作谷の間にある山は麻生高屋山といいますか」で○か×かで答えられる内容とした。この方は60歳代で×。狭い橋を渡り室兼の集落に入る。50歳代の方に聞くと×。次に40歳くらいの方で×。
全て男性で、3方とも「それは高屋」と言われた。
《聞き取り 追洞にて》
追洞の集落に入るといい具合に男の方3人と女の方が2人立ち話をして見えた。同じ質問をすると「高屋には室兼高屋と麻生高屋がある。」と言われ、思わず身を乗り出してしまった。そこでイラストマップに載っていると言うと「あれは僕が作ったんです」と言われ思わず聞き返してしまった。
私:「そうすると麻生高屋山はあるのですか」
作成者:「一応山名は地元の詳しい人に確認して作ったけど、位置関係はイラストマップなので・・・・・」
私:地図を見てもらい「七宗御留山境界絵図には二つの高屋がありますが・・・・・」
作成者:「体育館から見えるのが麻生高屋だったかな」
いずれにしても麻生高屋山なる「山」の存在は確認できなかった。
また、この方たちはイベント倶楽部・ボランティアネット七宗のメンバーの方だった。
《自戒の思いを込めて》
全くの私見だが、麻生高屋・室兼高屋という山があり、これを山名と強調する為に「山」を付けられたのではないかと思う。同じような命名に大仏山があり、これは点名に「山」を付け加えて山名としてしまったようだ。また、鹿遊山なる表記も見たが、山とはいえ「山」を付け加える必要はない。
更に言えば、著名な山名の前に所在地の地名が付く場合には、やはり「山」や「岳」は通常つかないと思う。尾張富士は決して尾張富士山とは言わなように。
美濃平家岳や袋母烏帽子岳の表記に違和感を感じるのは、私だけなのだろうか。
些細な事かも知れないが地名・山名の誤用・変更・安易な命名は避けなければならない。
自戒の思いを込めて。
《感想》
谷を下った為に時間がかかり、空フサガリは見られずに散々な1日になってしまう所だったが、イベント倶楽部の方々にお会いでき、谷を下った1時間強の周回もムダではなかったようだ。
《雑記 「ウォッちず」について》
新しい「ウォッちず」は数値地図25000(地図画像)より遥かに描画が精密で、後者は急斜面は等高線が密集して色濃く表示されてしまうが、今回の「ウォッちず」では急斜面も等高線が1本1本はっきり表現され、
なんだか何所でも歩けそうな気分になってしまい、地形図の見方を変えなければならないのかもしれない。
また、数値地図25000(地図画像)では富士山状の地形でも等高線が交わったり、切れたりしている個所があったが、新しい「ウォッちず」は本当に明確に表現されていて、そんなごまかしはないようだ。
詳細に見ればきっと楽しい時間が過ごせるだろう。
注:イバラダワの名称は七宗御留山境界絵図による
尾根出合520m 林道575m 鞍部610m