七宗山( の内 ベニヅラ 638m 長尾 601m) 丸山 580m
七宗町 2008年3月9日 地形図「金山」
七宗町の命名の元になった七宗山は七宗権現七座であり、ここで言う七宗山は
「七宗御留山境界絵図」に描かれた七宗高山七座を言う。 2008/4/22
以下の記録の長尾・丸山の位置の訂正
丸山は標高点601m(本文中では長尾と記載)、長尾はその北の600m峰とする。 2009/11/14
【時間】
常蓮寺峠まで=ゲート8:50−ジョウレンジ林道入口9:05−引返す9:23
−歩道入口9:28−引返す9:37−常蓮寺峠9:46−佐口谷林道出合10:05
ベニヅラまで=林道出合10:05−建長寺林道分岐10:55−取付き11:10
−ベニヅラ11:25−林道(休憩)11:35〜12:00
長尾・丸山まで=建長寺林道12:00−権現林道入口12:15−(引返して)
−取付き12:25−長尾12:35−丸山13:00
下山=丸山13:00−佐口谷林道出合13:20−ゲート14:45
《目的》
七宗御留山境界絵図の七宗高山の内のベニヅラと長尾、それと七宗山
ではないもう一つの丸山へ登り、それぞれの山が本当に山に思えるか
(見えるか)を確認する。
《七宗林道》
上麻生から神淵川沿いの狭い道を行き、室兼から葛屋、
そして七宗遊園の案内に導かれ岩山の下を通って七宗遊園へ。
ここから1Km先に七宗国有林のゲートがある。
入林には許可が必要とあるが「のんき君」の問い合わせに対して
「徒歩での入山ならば問題ない」との回答が寄せられているので
ここは大手を振ってゲートの横からコッソリ、中に入った。
《常蓮寺峠の地形の特長》
常蓮寺峠は太田代官所の七宗山巡視路になっていて、七宗町史「七宗巡山日数多少積」には「小川御昼休、常蓮寺峠より中道通り牧ヶ洞え御下山」と書いてあり中道とは何所にあったのだろうか。
文化的な面は美濃の峠(http://www.gifukoku.go.jp/bunka/mino/index.html)に詳しいが、僕は地形的な特徴が面白いと思う。(2009/7/1現在、削除されている)
この常蓮寺峠は小川谷の支谷の「峠ノ洞」と同じく「松ヲ谷」とが出合う
場所になっている。(地名は絵図による)
規模は違うが、ちょうど道谷と赤谷が出合うウソ越のような地形だ。
ならば葛屋川と小川谷が出合う最低鞍部は何所にあるかと探してみると
常蓮寺林道から小川谷に下る破線付近になる。
古道は林道に寸断される事なく葛屋川に出合っているのではないかと思うが未確認。地形図は林道の表示があり等高線が読みにくいが、標高点585mと標高点506mをつなぐ尾根が小川谷と葛屋川の分水嶺になる。
《常蓮寺峠へ》
入口は間違いないと思いつつも送電線で位置を確認する。小屋には「寿計谷造林作業場」とあり、林道名称は「佐口谷林道(スケカ谷側)」となっている。(絵図にはスゲガ洞がある)
最初の分岐がジョウレンジ林道。工事中で立入禁止になっているが今日は日曜で休工、安心して進んで行くと小川谷に下る歩道の入口を確認した。ところがすぐ先にあるはずの峠に続く歩道の入口がない。沢で入口を確認しながら林道を下ると目の前に鉄塔が現れ、行き過ぎたことに気が付いた。
引返しながら歩道の入口を探すがやはり最初の入口しか確認できなかった。仕方なくこの歩道に入ったが鞍部らしい所が見えて来ず10分で引返した。(この歩道は地形図の谷芯付近ではなく、左岸斜面に付いている) 入口付近まで戻ると沢から鞍部が見え植林の中を登ると立派な歩道に出合い、峠に着いた。
歩道入口 常蓮寺峠の石仏
峠には2体の石仏があり、1体は観音菩薩に見えるが頭部が無い。もう1体は如来でもなく、まして地蔵菩薩でもない。衣をまとっているので僧侶の像としか見えないが、もしかするとこの峠にまつわる常蓮寺の僧なのだろうか。
下山は旧道を下った。トラバース気味に続いているが途中で左折して尾根を下り、取付き点に戻った。
《ベニヅラへ》
ジョウレンジ林道から本道に戻ると長い林道歩きになる。送電線と鉄塔で現在地を修正しながら歩いて行くと、地図に無い「岩井谷林道」の入口があった。この付近からは白山・御岳が望まれ、水晶山は指呼の間にある。それにしても御岳の右横に見える格好の良い山は何所の山なのか。(帰宅後に確認すると境界尾根にある663m峰だった、これは無視できない)
水晶山 白山 御岳(手前は663m峰)
岩井谷とマキガ洞の鞍部を通過し、ようやくベニヅラの入口、建長寺林道に着いた。このカンバンの後には新しい三角点「七宗山東」617.8mがあるが、点名は七宗山の東という意味か、それとも七宗山の山域内の東にあるという意味か。いずれにしても理解できない。
尾根を巻いて最初の沢状の所に歩道の入口があり、これならば鞍部に上がれそうに見えた。案の定鞍部に出合い、あとは道なりで山頂に着いた。取付きからたったの15分。ここにも営林局の測量基準点があり、尾根を少し南へ行くと見覚えのある山が見え、納古山だった。
ベニヅラ山頂 納古山
そして林道に下り長尾を見ながらお昼にした。
建長寺林道から権現林道を見る 建長寺林道から長尾(山だ!) 奥は笹ヶタワ
《長尾・丸山へ》
本道に戻り、進むと次の支道は「権現林道」となっていて、意味ありげな名前。ベニヅラを確認し、前方を見ると室兼高屋とイバラダワが並んで見える。
ベニヅラ 左:イバラダワ 右:室兼高屋
と、車があり、おじさんがサカキと採っていた。
僕 : 七宗山をご存知ですか?
おじさん : 七宗山はここじゃないよ。
これはアカンと先を急ぐ。
ところが目指した取付きは傾斜が急でとても取り付けない。仕方なく林道分岐付近から取付こうと引返したが、ここでおじさんから耳寄りな情報をもらった。
曰く 「林道終点から登れるのに・・・ 上には祠があるよ」
そこから10mも行くとピンクのテープが有り、尾根に乗る事が出来た。尾根上の歩道はコブを巻くがここからは直登する。なんとシャクナゲがヤブを作っている。
そしてすぐに山頂、御料局三角点が鎮座している。
祠を探すと西50mの所にあり、これが330度(北北西)を向いている。神様は東か南に向けられるのにと不思議に思い、家に帰って地図を見てみると白山を向いていた。するとこの神さまは白山権現か?
御料局三角点 祠
ここから七宗山ではない丸山を目指す。ピンクのテープに導かれ南へ。590mのコブには何も無くここで右折して580mのコブに着くと、ここには麻生高屋と同じ角材の標識があった。
北峰付近から南峰 南峰(580m)の標識
北の590m峰か南の580m峰かどちらが丸山にふさわしいか悩ましいが、高さからは北峰、尾根の収束する感じからは南峰が良い。まあどちらでも良いとしよう。
《下山、そしてゲート》
下山は祠から西北西の尾根を下り林道の終点に出合った。この付近には雪が残っていてもう残雪期になったのかとも思えた。いやいやまだ早い、奥美濃の山は今夜も雪かもしれない。
地形図と照らし合わせながら長い林道を歩きを楽しんだ。でも、岩井谷の全景を展望できる場所が無かったのが残念だった。
《続・七宗山山名考》
以下の記録の長尾・丸山の位置の訂正
丸山は標高点601m(本文中では長尾と記載)、長尾はその北の600m峰とする。 2009/11/14
今回歩いてみてベニヅラは標高点638m、長尾は標高点601m、七宗山でない丸山はその南の580m峰としたい。また、七宗山の丸山はサクチ谷(現・佐口谷)を挟んだ570m峰としたい。
絵図では大畑山は七宗本谷から見ると真っ直ぐ東と見とれるが、現白川町側から見ると現寒八集落近くの大畑沢の源頭部にあるので点名熊之島になってしまう。何よりも大切なのは山に見えるかであって、標高点は必ずしもピークにはなく、山に見えない所もある。一度寒八に行き大畑沢の位置を確認してみよう。
絵図の作成者(聞き取りで制作したと思うが)は周辺集落から谷筋を入り位置を推測して絵図を作成したと考えると、神淵川からと飛騨川からとで位置関係に矛盾が生じたのではないのだろうか
ただ残念な事に絵図の画像掲載の許可申請は煩雑で、概念図の作成も面倒臭いので判断材料が提供出来ない。
注:絵図とは七宗御留山境界絵図の事を言い、山名はこれによる
2月は積雪があったが、この日以降18〜20℃くらいの日が2週間ほど続いた