恩田大川入山

恩田大川入山 1921.1m 中津川市 2008年3月29日 地形図「中津川

【時間】 登り:スキー場6:50−尾根出合7:45−点名岩灘8:35−大川入山分岐9:20−三階山9:55

                     −恩田大川入山10:10−三階山でお昼10:25から11:15

      下り:三階山11:15−スキー場13:10 ルート地図


《恩田大川入山はどれ》

我が美濃の山のバイブル『美濃の山』には中津川市・平谷村・旧浪合村の三叉点が恩田大川入山と
なっている。
しかし、最近は北のピーク1921.1m(点名波合山)が主流となった。

出掛ける前はやはり高い方がこの山名にふさわしいと思い、このピーク付近の標高データを調べてみた。

県境上のピークの最大値は標高データで1935mとなり、その南コブ周辺の最大値は1931mとなる。
(周知の事と思うが標高データは地図画像と照らし合わせると位置も絶対値も誤差が有り、ここでは相対値としてみる)

ならば、やはり県境上の最高点を恩田大川入山と確信したく自宅を出た。
(歩いた感じでは上記2地点はほぼ同じ高さに感じた)

しかし帰宅後にWebサイト「@恵那山」のコラム「恵那山から見る大川入山」の中で1921.1m峰を恩田大川入山、県境近くの最高点を三階山とされているのに出合った。
地の利、またサイトの品格を思い、『美濃の山』には申し訳ないがここでは1921.1m峰を恩田大川入山とし県境の最高点を三階山と表記する。

また、所在地は本来なら登山口の地名とするがこの山に関してはあえて美濃側の地名とした。

《あららぎスキー場まで》

まだ暗い内に高速道路に乗った。ほのかに明るくなった空を背景に笠置山は秀麗なシルエットを浮かびあがらせ、恵那山の山頂には一筋の雲がかかっている。他に雲は無く今日の晴天を約束している。

車内に流れる曲は70's、フォークソングにポップス、それにアイドル。
70年代ですら俳優小沢昭一が「俺たちおじさんには歌う歌が無い」と嘆いていたが、今や大人の歌の行方が分からず、日本語のアクセントが曲にのらなくなってしまった。

そんな事を思いながら寒原峠を通過、気温表示は0℃となっている。すぐに右折してあららぎスキー場に着いた。駐車車両にはうっすらと雪が付いていて、昨夜は雪が舞ったようだ。

《山頂へ》

身支度をするが今日は真冬のいでたち。それに何の疑いもなくワカンを持った。
ゲレンデの左端を歩いて行くと第2リフトの中間くらいに大川入山ハイキンゴコースの入口があった。

 あららぎ高原スキー場   ハイキングコース入口
           あららぎ高原スキー場                         ハイキングコース入口

植林の中を電光形に登って行くがいっこうに雪が出てこない。自宅から見えるこの山は白く輝いているのに、もしかしたら遅かったのかとも思っていると1530mで尾根に出合うと雪が出てきた。何日か前の深く沈んだ足跡もある。

白樺の並木道を通り、唐松の植林を抜けると1724.0m点名岩灘に着く。

 カラマツ林   点名岩灘付近
            カラマツ林                                 点名岩灘付近

ここからは大川入山、その左には麓にスキー場、山頂には無線塔を乗せた蛇峠山が望まれる。この先からは新雪あり、先人が開けた靴跡の大穴に雪がたまり、まるで落とし穴のようだ。

 大川入山   蛇峠山
             大川入山                                  蛇峠山

コメツガの林の中を行くが突然下枝がじゃまになりだし、大川入山の分岐を過ぎたことを知った。

鞍部からは中央アルプスが一塊に見え、飯田市街の向こうには南アルプスが立ち並んでいる。更にコブを越すと美濃の地が望まれ、県境ピーク(三階山)に着いた。

《三階山・恩田大川入山》

ここが中津川の源頭部だと実感する。当然1921.1m峰に足を延ばす。恵那山は見慣れた台形ではなく三角形の姿で出迎えてくれた。山頂とて何も無く、ビニールテープが一つ巻いてあった。尾根を西に行くとすぐに行き止りの感じになり、東へ行くと尾根は続いていて、ここが点名波合山(恩田大川入山)と確認した。

 鞍部から三階山   恩田大川入山から恵那山
            鞍部から三階山                            恩田大川入山から恵那山

県境ピークに戻りお昼にした。中津川を挟んで恵那山と行けなかった焼山、焼山の尾根続きのコブはロクロ天井、鯉子山・阿岳も見えているが同定は難しい。左に目をやれば上矢作の風車が見え、その手前は掃木沢山か。そうしていると親子連れが登って来られ、三角点に行かれるのを見送った。

          県境ピークから中津川の谷
                       県境ピーク(三階山)から中津川の谷

《下山》

多少腐って来たがまだまだ良い状態の雪質で快調に下って行く。登りで見落とした大川入山の分岐を確認して、その少し先で親子連れに追い付かれた。
少し話しをして先に行ってもらうが、僕は足が遅いのを実感した。そして、ゲレンデに入るとかなり前を歩いてみえた。

今日のお荷物(ワカン)は一度も日の目を見る事なく仕事を終えた。

《自宅にて》

前記のように山名を確定し、双眼鏡で恩田大川入山を見ると確かに2つのピークが確認でき、三階山の方が尾根を集めて山頂らしく見え、恩田大川入山は少し控えめに見える。

真っ白に輝く峰を望み、数時間前にあの頂にいたのだと思うと感慨深い。
また、今日は抜群のコンディション。気温は低く、快晴。数年来の望みがかなった。


追記 2013/1/3

『美濃国気候ノ栞(大正14年発行)』には以下の記載がある

「木曾山脈ハ信濃ヨリ来リ恵那山(二千二百四十米)、阿賀滝山(千九百米餘)ノ諸山トナリ其脈南ニ延ビテ信濃ノ境ヲ限リ更ニ南三河ノ國境ニ至ル」

1900mくらいとなれば恩田大川入山かその南の国境の最高点がふさわしいことになる。

以上を考えると「三階山」とした地点は「阿賀滝山」が妥当か。



美濃一人山名録08恩田大川入山