猫ヶ洞・土蔵岳
  
960mシャクナゲのコブから見た左が猫ヶ洞(奥の峰の低い方) 右は土蔵岳   

猫ヶ洞 1065.4m 土蔵岳 1008m  揖斐川町坂内地区 2009年5月2日 地形図「横山

                                              ルート地図はコチラ

【登り】 P8;00−林道終点8:40−廃道の林道分岐8:50−谷分岐9:35−国境尾根9:55

        −土蔵岳10:25−1ツ目のヤブ10:45−二つ目のヤブ11:45−猫ヶ洞12:05

【下り】 猫ヶ洞12:30−土蔵岳付近下降点14:00−(引き返す14:30)−砥谷下降14:40

         −谷出合14:50−林道終点15:15−P15:50

《土蔵岳について》

「美濃の山」と「奥美濃とその周辺の山130山」に無積雪期の記録があり、この山はなんとしてもヤブの時期に行きたかった。また、恩田大川入山で出会った親子は9月に行ったそうで、踏み跡も出来ていたと言われた。

ならばと昨年7月31日夏の盛りに行ったが、草むらで敗退した。今回行ってみて確かに谷の所々踏み跡はあったが、まさか谷芯を行かねばならないとは思ってもみなかった。もしかすると廃林道の分岐から尾根に取付いたのか。また、県境尾根にも一部に薄い踏み跡はあった。

《猫ヶ洞について》

以前から土蔵岳とセットで考えていた。「奥美濃とその周辺の山130山」には土蔵岳・猫ヶ洞間の記載があり、巨大なシャクナゲのヤブがあるという。が、これは想像以上のものだった。

《旧道303号について》

前回土蔵岳敗退の帰り、坂内振興事務所(旧坂内村役場)に立ち寄り、旧道303号の進入制限を確認した。職員曰く、「旧道は立入り禁止です。入るなとは言いませんが・・・」。また、不法投棄の監視の為、砥谷のまでは巡視していると言われた。

ならば、積雪期以外あくまで自己責任において砥谷出合までは通行できるようだ。

《砥谷左岸林道》

旧国道303号の砥谷出合の広場に車を置き、歩き始めた。前回の時、むっしゅ〜さんからメールを頂き、上原谷と砥谷を分ける尾根上に作業道があるかも知れないとお考えのようだ。
(その根拠は2007年1月 大ダワ・土蔵岳縦走の折 尾根を境に植林になっていて、潅木にまだ新しい切り口があり、新しいタフロープもあったという。)

それで、もしかすると砥谷側に作業道の痕跡でもあるかと、右斜面を見て歩いたが、600mH付近に
一ヶ所それらしい所があったが、とても入ってみる気にはならなかった。

ぬかるんだ路面ぬかるんだ路面にはまだ新しいワダチがあり、堰堤の上部で軽トラックが下ってきた。
「凄いですね。よく来られましたね」と言うと「4駆だから」とケロリと言われた。
「どこ行くの」と問われ、「土蔵岳から猫ヶ洞」といったが、猫ヶ洞は分からないようだった。現地名ではないのだろうか。



《砥谷をつめ、国境尾根へ》

路面の崩壊した沢を渡る。夏にはあんなに茂っていた草も今は10cmくらいでかわいいものだ。ぬかるんだ道は延々と続いていて、この距離を夏草を分けながら歩くことは僕には出来なかっただろう。

そして10分後、廃道の分岐になった。当然右に入る。すぐに谷の分岐になり、ここは左に行った。(A地点)

初めは左岸に踏み跡があり、その内右岸に渡る。もう一度左岸に渡ると踏み跡が倒木で隠れた。ナタを取出し、倒木を越えたが踏み跡はなかった。

一瞬「再度敗退」の文字が頭をよぎったが、エイと谷に下りると、以外と歩き易く、これを行く。

かなり登ると二俣になり(B地点)、北西方向の左に入った。そして、水量も少なくなるころ、また分岐(C地点)。
これを左に入ったが尾根目前の10m程のヤブは手強かった。








  B点分岐 B−C間
         B点手前                     B点分岐                    B−C間


《尾根出合から土蔵岳》

尾根上は薄いヤブで気持ちが良い。適当にナタ目を入れて進むとすぐにいい感じの鞍部があった。最後の分岐(C地点)を右にとればここに出たのだろう。下山はここを下ろうとナタ目を入れた。薄い踏み跡を拾いながら適当にマーカも付けて行く。

踏み跡のある尾根 ヌタバのある鞍部 気持ちのいい鞍部
      踏み跡のある尾根              ヌタバのある鞍部                気持ちのいい鞍部

そして、今日の宿題。上原谷と砥谷を分ける尾根の偵察に入った。20mも行かなかったがとても作業道があるようには見えなかった。
(下山時に再度と思っていたが、つりそうな足をかばってパスした。僕もこの尾根には関心がある。旧道の上原谷の出合から885m地点までは踏み跡がありそうに思える。)

尾根に出合、ここで右折すると土蔵岳の山名標のある山頂に着いた。しかし、山名標がなければ気が付かずに通り過ぎそうだ。

 土蔵山頂   木の又まで約1m
             土蔵山頂                               木の又まで約1m

《土蔵岳から猫ヶ洞》

尾根の出合まで戻り、顕著な尾根を北西に向かう。

鞍部を通り過ぎて、脇を見ると綺麗なピンクの花が咲いている。「ワーキレイ」と独り言、それは大間違いとすぐに気付かされた。シャクナゲのヤブをくぐり、テッペンに出た。展望が開けるが山名同定などという余裕はない。下り易そうな箇所を探して行く。桧があり、枝を払うとホコリがたった。花粉だ、ヤバイ。そして、花の上を泳いで地面に足が着いた。

振り返れば、タムシバの白、シャクナゲのピンク、前を見ればブナの新緑、歌が詠めそうな気にもなるが余裕はない。この先はヤブは殆ど無く、ブナの林の中の好きな所を歩ける。尾根は広がりここらからはマーカを付けた。

ピンクのシャクナゲ 純白のタムシバ 木々の若葉
      ピンクのシャクナゲ              純白のタムシバ                木々の若葉

県境尾根が東西を向く付近は台地状で緩い起伏があり、あちこちにヌタバがある。ササが視界を悪くするので、人には見せられないくらいにマーカを付ける。と言っても、誰の来はしないが。尾根の合流点から北に向かう。

そして、またシャクナゲの激ヤブが出現した。やはりここでも桧の花粉には悩まされた。

シャクナゲを見上げる
シャクナゲを見上げる

あと少し。尾根に乗りコブを左手に見て右折、小高い所があり見ると標石が有った。点名三ツ又、最高点はまだ先だがちょうど12時、ここを猫ヶ洞の山頂とした。山名標が1つ掛けてあり、「=滋賀県境縦走=白倉岳」となっている。滋賀県側では白倉岳と言うのだろうか。

点名三ツ又 山頂風景 山名標
       点名三ツ又                    山頂風景                    山名標

《下山》

台地状の所も、シャクナゲのヤブもクリアーした。そして土蔵岳西で境界尾根を下った。所が、30分下ってもナタ目をいれた最低鞍部の下降点がない。行き過ぎたのか、尾根は一本のはず、パニックになった。

引き返して最初の鞍部から谷に入った。方位200°少し変だが仕方ない。まさか上原谷を下ってはいないハズ。10分後、朝の分岐点(B地点)に出合い、気分が落ち着いた。そして、人にも動物にも会わず車に戻った。

《雑記》

こんなに手強いシャクナゲのヤブは初めてだった。と言うか、本格的なシャクナゲのヤブは今までに一度中の谷で遭遇したくらい。しかし、これ程のことはなかった。とにかくすごい。とくに土蔵岳側のヤブでは、下山時の登りには苦労した。10mH近くの登りになり、操り人形になった気分だった。

また、砥谷の最低鞍部の下降点が30分歩いても無かったのは、単純につりそうな足をかばい登り以上に時間が掛かっただけで、あと1コブ越せば良かったようだ。


そう言えば八草トンネルを通ったことがない。一度近江を見に行こう。



美濃一人山名録09猫ヶ洞・土蔵岳



砥谷出合 101.2K 1h46m