七宗町飯高から望むシャレ山
シャレ山 640m 加茂郡七宗町 2009年5月10日 地形図「金山」
【登り】 P9:25−林道終点10:05−ベニ岩峠10:20
−絶壁の下10:40−東西尾根11:10−山頂11:30
【下り】 山頂12:10−絶壁の下12:35−ベニ岩峠12:45
−林道終点12:55−P13:40
《シャレ山について》
七宗町上麻生辺りから、飯高のカヨウ洞(絵図にある)の奥に見える特徴のある山に山名があっても不思議はない。
また、2008年6月15日イバラダワの帰りに石作でお会いしたボランティアネット七宗のお一人はシャレコウベ山でシャレ山と言われた。(これは明らかに洒落)
また別の一方は携帯電話でシャレ山の写真を見せて、山頂の左の平らな所にはUFOの基地があり、矢追純一の番組でも紹介された事があると言われた。
ちなみに尾根続きの点名萱原(かやはら)はいずれの集落からも見通せず山名があるとは考えにくい。(カシバードでみると道の駅の南辺りから見えるかもしれないが、「山」には見えないはず 09/05/22追記)
2008年12月1日、釜ヶ岳の帰り(15時30分頃)、上麻生本郷で山頂付近に光る物が見えた。
これが鏡だったとは・・・・・。「みのかもから山登り」さんのページで知った。
《山名確認と入山拒否》
飯高の集落内を一回りしたが人影がない。二回り目でご婦人がみえた。声を掛けると畑にみえたご主人を呼ばれ、話が聞けた。
谷の奥の山を指さし、山名を尋ねるとシャレ山と言われた。橋には飯高川となっているけどカヨウ洞と言いますか、の質問にはカヨウ谷というとの事。絵図にあるベニ岩をお聞きすると、飛騨川の方にあったかな?との回答。
シャレ山 飯高川
お礼を言って、奥に進むと男性がみえたので、同じ質問をすると、シャレ山といわれ、ベニ岩はシャレ山の山腹にある岩かな?と言われた。
更に奥に進むと地道になり20mほど先にゲートがあった。車を置くスペースがないのでそのままバックして、草刈機を使っている40くらいのオッサンにシャレ山に登りたいのですが、車を置く所はありませんかと言うと、「入るなら山主の許可をもらえ」と言われた。ただ歩きたいだけですと告げると、「勝手に入ったらえらい事になるぞ」とのたもうた。
確かに理は相手にあり、非はこちらにある。しかし、里山を歩いて20年登り口でこんな拒否にあった事がない。所有者のいない山はない事くらいは百も承知している。でも、歩くルート全ての山主さんの許可を受けることは不可能だ。また入会地ならばなおさらだ。
ちなみに、最初にお話しを聞いた方もシャレ山に持ち山があるといわれた。
一木一草一石さえも山から持ち出さない事を信条にしているのに・・・・・、情けないやら悔しいやら。山に負担を掛けない為、テープは全て回収しているし、植林された木々には手を掛けないようにしているのに。
一気に気持ちが萎えた。
《細尾谷林道入口にて》
とにかく飯高の集落を出た。上麻生のJAに車を停め気分を落ち着けた。葉津に行こうかとも思ったが、やはりシャレ山、細尾谷(ほそびだに)へまわる事にした。
細尾谷林道に入るとすぐに落石があり、カローラでは無理、入口の空き地に車を置いた。そこへ勝(かち)の方から60才くらいの方が歩いてみえた。散歩されているらしい。
念の為(これ以上のトラブルを避ける為)、「ここは私有地じゃないですよね」と尋ねると、「持ち主のない土地は無い」と言われ、またかと思った。しかし、この方は常識人で「ここは上麻生の財産区だからだれも文句は言わないよ」と言って下さった。
また、例の質問をすると、「シャレ山なんて知らない、ベニ岩は昔聞いた事があるな」と言われた。シャレ山は勝から見えないのでご存知ないのは当然か。そして細尾谷林道に足を踏み入れた。
《林道終点からベニ岩峠》
林道を進むと、途中に赤池龍神奥の院があり、かなり古いノボリには千手観音とあった。この狭い龍ヶ洞は薄暗く、気味が悪いので中を覗くのは敬遠した。そして林道終点に着く。谷は二俣になっているが、杣道は左俣についていた。
大岩を越すと、杣道は本谷を横切り、鞍部に向かっていた。そしてベニ岩峠。この峠は絵図に記載されていて、細尾谷とカヨウ洞との境になっている。この付近で道は今来た道を含めて6つに分岐していて、まさに峠だ。そして右折して尾根道を行く。
奥の院 ベニ岩峠
《絶壁を迂回して岩尾根から山頂》
尾根には岩があり、道は右手の植林の中に続いている。そして岩尾根をかわしたようで、尾根上を行くようになると、左は2次林であることに気が付いた。そして植林が終わるとガケの下にいた。
これを右に行き少し登ったが、どう見てもこの岩の壁を登れない。仕方なく元の場所に戻って、左に行くと薄い踏み跡がトラバースするようについている。でも、沢では道が抜けていた。
沢を横切ると踏み跡が現れ、支尾根を登って行くと西尾根に乗った。ここからは岩尾根になり、気が抜けない。これを東進するとまたも絶壁が立ちふさがった。とても登ることは不可能。見ると北側に踏み跡があり、岩の下を行く。(南に巻いた方が良かったかもしれない)
右図Aの辺り 詳細地図
岩尾根を通過した頃合いをみてヤブをかき分けて登ると尾根に戻った。そこには鏡を貼り付けた岩があり、展望が開けている。とにかく山頂を目指すと100m先に何もない山頂があった。
?? シャレ山山頂
《岩場の展望台にて》
山頂はあまりに殺風景なので鏡のある場所に戻り、お昼にした。ここからは上麻生から美濃加茂辺りまで見渡せる。視界がよければ名古屋から伊勢湾も見えるだろう。右に目を転づれば納古山、七宗の体育館は山の中にぽっつんと見える。北には深い石作谷を挟んで室兼高ヤ(点名高屋)やイバラダワ、その他の七宗高山も勢ぞろいしている。
体育館 左は室兼高ヤ、右はイバラダワ
(イバラダワは鞍部のことかもしれない)
《下山》
もし、道を外せばガケで行き止まりになり、とてもルートを探せなくなる。とにかく注意深く、慎重に往路を下った。
そして、西尾根の岩場を通過した辺りから580mHの棚を見たがUFOの秘密基地は発見できなかった。
ヤブでなければシャクナゲは綺麗 麻生高ヤ(森林管理局の地図では遠見)
《その他》
出かける前、机上でシミュレーションしていると、南西面の岩のガケが登れずどうしても山頂に立てない。そこでガケの下からトラバースして西尾根に乗ると、どうにか山頂に立てそうに思えた。それがドンピシャ、踏み跡は予想通りについていた。
また、ベニ岩はその昔、恵那峡の北岸にある紅岩と同じように見えたのかもしれない。
《後記》
この山をネットで調べていると、点名に「山」を付けて山名としているサイトがあった。
「地名は文化であってほしい、と思う。地名に託されてきた地域の歴史を大切にしていかねばならない」(「MIHARUの山歩き」さんの「鉄嶺峠を歩く」から引用)。
個人の思いつきで地名を偽作する愚行はもうヤメにしよう。
注:絵図とは七宗御留山境界絵図をいい、○○高ヤは絵図に描かれている山名