上谷山(うえんたにやま) 1082.9m 揖斐川町旧徳山村 2008年5月23日 地形図「冠山」
【登り】
徳山会館:6:50−シツ谷出合7:20〜7:30−植林8:20
−尾根に乗る9:00(?)−山頂11:30
【下り】
山頂11:50−林道出合14:10−徳山会館14:50
《上谷山について》
今回で4度目の挑戦になる。
1回目は1995年8月、開田の廃道の林道からシツ谷沿いを行くがダム工事の為の付替え道路(R417仮道路)の建設で「奥美濃」に書かれていた踏み跡は無くなり、滝の手前から急斜面を登り作業道を探したが見付けらずに敗退。
2回目は2006年11月徳山会館の前のゲートでガードマンに追い返された。
3度目は先日(4月27日)腰痛の為、家を出る前に敗退した。
そして、今週こそと思っていたが週末は天気が悪そうなので休みを取り、本日を迎えた。
《徳山会館からシツ谷出合》
6時40分に徳山会館に着いた。その先には簡単なゲートがあり、動かして通る事もできるがやはり会館の駐車場に車を置こうとしたがここにもゲートあった。
埋め込み式のポールのゲートで施錠もなかったので勝手にポールを下げて駐車場に停めさせてもらい、下山後に事後承諾を得た。
準備をしていると軽のバンが来て車道のゲートをのけて通っていった。その時、もしかするとガードマンが来るのかも知れないと思い大急ぎで準備をし、朝食は管理道で摂ることにして出発した。
徳山会館前のゲート 管理道路のゲート
萵苣谷(ちしゃたに)・ションダニを過ぎると本格的なゲートがあり、30分でシツ谷に出合った。
13年前に歩いた谷沿いは湖底に沈み、今の湖面の辺りから尾根に上がろうとしたのだろうと思うと感慨深い。(父祖の地を奪われた人たちにすれば、こんな薄っぺらな感傷は許せないかも知れない)
さて、何所から取り付くかだが、シツ谷の10mほど西の沢から上を見ると木にピンクのテープが巻いてある。しかし、この沢は滝になっていて僕には登れない。かといって法面を登るのは不可能、仕方なくシツ谷の1段目の滝の左から登り法面の上部を行く事にした。
車道脇の1段目の滝 シツ谷出合から望む能郷白山
《三段懸けの滝から主尾根出合》
不安定な斜面をシダにつかまり、どうにか登ると道があった。これが「奥美濃」に言う植林道なのだろう。直接斜面を登っても良さそうだが、この道を行く事にした。2ヶ所道が抜けた所を通過すると2段目の滝が右下に望まれ、少し先に3段目の滝があった。
2段目の滝 3段目の滝(上部にピンクの目印)
その滝の上の木にピンクのテープが巻いてあるが何だかそこまで行く気がせず、ここから左の急斜面に取付いた。
尾根に上がっても道は無く自然林の中のヤブを漕ぐと600m辺りで右から杉の植林が上がって来て、ここからは植林と自然林の境で明確な道になった。とすれば3段目の滝の上から先に行けばこの植林道につながっているのかも知れない。
その内に左が深い谷(ションダニ)になり、シツ谷と上谷(ウエンタニ)を分ける尾根に乗ったらしい。
地図に時間を書き込もうとすると地図がない。落とした様だ。更に帽子をかぶっていないのに気が付いた。これも落としたのだろうか。地図はもう一枚湖面の位置(400m)を確認する為の地図があるが山頂丘は入っていない。しかし、記憶が正しければ尾根は一本なので安心して先に進んだ。
《主尾根上は》
4.5年前に手入れがされたような感じの植林の境を行くが、それもしばらくすると下枝が煩わしくなりだした。標高点800mから下り、鞍部を通過する辺りからはヤブになり、所々で狭い尾根を杉の倒木がふさいでいる。
作業道の名残 越美国境の山並み
ナタで切って進んで行くが時間ばかりが過ぎて行く。右手にスットク、左手にナタ、そしてマーカー付けと忙しい。(僕は左利き)
今回からマーカーは紙テープに変えた。と言うのは、昨年のGWの山歩きでかなりの数のビニール紐を残して来てしまった。それで試行錯誤の末、100円ショップで紙テープを買い、それをスパッツの小さな袋に入れて腰に吊るす。
そして巾着の口から紙テープを引っ張り出してやると軍手をしたままでも枝に付けられるし、回収し忘れても紙なので数ヶ月後には地上に落ちて、その内土に返るだろう。
(紙テープと言っても、ゴミであり全数回収する事は論を俟たない 2010/3/7追記)
何時の間にか潅木のヤブに笹が混じるようになってきた。もう少しで山頂かと思い足を速めた・・・・・
振り返ると今来たルートが全く分からない。
《1050m付近で道迷い》
山頂ではなさそうだが地図が無いのでよく分からない。完全にパニック。ココゾと思うヤブに入り、自分の踏み跡を探すが見付らない。右往左往していると下に向かって、左は植林、右が自然林の尾根があった。
これだと思ったが植林は桧だし作業道はしっかり付いている。向きを見ると北に下っているのでルートの尾根ではないが最悪の場合はこれを下ろうと考えた。
しかし何所から杉の植林が消えたのか。もう一度コンパスを合わせる為に地図を探すと2枚目の地図も無い。さっき、桧の植林で方角を確認した時には有ったのに・・・・・
ますますパニックになった。落ち着け落ち着けと言い聞かせ、記憶に残っている登ってきた尾根の角度より更に右手に下り、そこからトラバースすることにした。ネガマリダケの中でもがきながらとにかく横に進むとマーカーを発見、ようやく助かった。
そして地図の無い悲しさ、ここからは高い方に向かって3〜5m間隔でマーキングしていく。ここでマタマタ、ストックの1段目が無いのに気が付いた、諦めよう、と、ひょこり切開きに出た。山頂だった。
(帰宅後に地形図で確認すると北尾根と北東尾根の合流点は山頂丘の北東にあり、北東尾根がより顕著に見えるように思えるが、実際は北東尾根は北に向かう尾根から派生しているように見えた。感じとしては大洞の山頂丘のイメージに近い。)
《山頂にて》
もう完全に気力を使い果たした感じがする。
三角点は狭い切開きの中でほんの少ししか頭を出していない。標石の周りだけ草を刈り、カメラを向けた。
三角点 山頂風景
周りを見渡してもヤブの向こうに鏡山がほんの少し見える以外何にも見えない。食事をしようとしたがダメージが大きかったのか食欲が全く無く、とにかく一つだけおにぎりを押し込みすぐに下山した。
《下山》
紙テープは結び目をちぎり、シャツの懐に溜めて行く。これはビニール紐に比べて腰が無いので、とても快適だ。尾根の分岐から少し先でストックの1段目を発見、僕にしては高級品なので助かった。
そして何時しか懐かしい杉の植林が出てきた。ここま来ればもう安心。植林と分かれる所の手前で落とした地図も発見、谷に下る地点もクリアー、2段目の滝からはえらく苦労して車道に降り立った。あとはつりそうな足を引きずって徳山会館に戻った。
着替えをしていてフト、トランクの中を見ると帽子が置いてある。急いで出発したのでかぶらずに行ったようだ。
《感想》
1995年の時はもう少し滝の付近まで行き、左斜面探せば良かったのかもしれない。しかしあの頃の僕では無理だったろう。
道迷いに関しては、「アッ」と思った瞬間にその位置にマークを付けなかった事が悔やまれる。もしマーキングをしていたらそんなに体力の消耗はなかっただろう。何れにしても地図を携行する場所の確保と予備の地図の携行を確実にしよう。
また、主尾根上の時間の記録は2枚目の地図に書き込んだ為に分からなくなってしまった。
ここ何年かは道路工事の影響で入山者が非常に少なかったせいか、山頂丘手前から踏み跡はほとんどなかった。
アクセスも良くなったのでマイナーな美濃の山だけど、これからは少しくらいにぎやかになってほしい。
会館99K 0452-0640 1517-1730